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「月が綺麗だ・・・」
ジョウイは夜空を見上げながら呟いた。
隣で寝ているユイリの寝息が気持ち良さそうでなんか感心してしまう。
「・・ああ、そうだ、戦争は終わったんだ・・」
まだ、現実感が薄い。
「・・守ってあげるつもりだったのに、むしろ僕が助けてもらうなんてね・・」
大切な幼なじみだから、彼だけは戦争などに巻き込まれることなく、 平和な世界で生きていてほしい、と思って選んだ道だった。
そのために使った方法が正しいかどうかは別の問題、 どんなに辛いことでもジョウイは構わなかった。
ハイランドでいた時の事はユイリとナナミには知られたくないくらいの暗い傷。
一生、一人だけの秘密にしなきゃいけない。 そんな事を考えながらまた月を見上げて見る。
「・・綺麗な満月だね、ジョウイ。」
つい先までよく寝ていたと思ったユイリがいつからかジョウイを見つめている。
「ユイリ?!寝ていなかったかい?」
「あ、寝ていたけど、ちょっと寒くなってね・・」
「ああ、しまった、火が・・こめん、忘れちゃったよ。」
「いいよ、そんな事より何を考えていたの?」
時々、ユイリは鋭い。 ジョウイは何と言えばいいのかと困ってしまった。無口になって表情がなくなる。
そんなジョウイの様子を面白そうに見ているユイリに気付いてジョウイはまたムカッとしてしまう。いつものことだ。でもどうしても慣れない。
「また、くだらないことに悩んでいたようだね。ジョウイはいつもそうだから。
でも、これからは一人で決めないで。僕はもう二度とジョウイと離れたくないよ。」
「ユイリ・・」
「ああ、もう寝る!明日にはキャロに着くように強行軍するつもりだから ジョウイもさっさと寝る方がいいよ?」
「わかった。では、お休み。」
「ジョウイもお休み!」
すぐにユイリの規則正しい寝息が聞こえる。
薪が燃えて聞こえる特有の音と暖かい空気に包まれてジョウイはふっと深呼吸してみる。
戦争は終わった。 これからは平和な時代が来る。 そして、また3人でいられる。
それこそがジョウイが一番願っていたこと。
「まあ、いいか。」
今は悩んでも仕方ない。生きているのだ。 生きている以上、頑張って生きてるんだ。
明日は懐かしいキャロの町に戻る。そこにはナナミが僕たちを待っているはずだ。
また3人で旅行を初めることができる。
「・・そう。今度は僕のわがままで旅行の途中で一人で消えることはしないよ。
あの月に誓って、絶対にね。だから、これからもずっとよろしくね、ユイリ。」
ジョウイの独り言がユイリに聞こえたかどうかはわからない。
ただ、月だけはすべてをわかっている。
この静かな夜に。
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